●住宅性能表示(構造の安定性能)
1,住宅性能表示の耐震等級
建物の強さを表す指標として、品確法の住宅性能表示での耐震等級があります。
最低の基準として建築基準法の範囲内を等級1、建築基準法の1.25倍の強さを等級2、建築基準法の1.5倍の強さを等級3として、3段階の耐震等級が設けられています。
2,耐震等級の判定・・・(階数が2以下の木造の建築物で構造計算を行なわない場合の基準)
階数が2階以下の木造住宅で、住宅性能表示での耐震等級を判定するには、構造計算を行わない場合は、下記の①~⑥までに掲げる基準に適合していることが要求されます。
但し 耐震等級1の場合は①のみ(建築基準法レベル)の適合でよく、②~⑥は対象外となります。
①,建築基準法での、必要壁量以上の存在壁量を設けること。
各等級共通で、建築基準法施行令46条による、地震力 若しくは風圧力の不利側の必要壁量以上の存在壁量を設けることが要求されます。
詳しくは、建築基準法の壁量計算を参照して下さい。
②,準耐力壁等を含めた耐力壁の存在壁量が各等級による必要壁量以上であること。
建築基準法では、耐力壁の存在壁量が建築基準法の必要壁量以上あれば良いのですが、住宅性能表示の耐震等級2及び等級3では、建築基準法の必要壁量(①)を確保し、更に耐力壁以外の準耐力壁や一定の条件を満たしている垂れ壁や腰壁を存在壁量に算入し、住宅性能表示による各等級別必要壁量以上(建築基準法より多めに設定)を確保することが要求されます。
存在壁量(耐力壁+準耐力壁等)≧必要壁量(住宅性能表示による各等級別)
<<準耐力壁とは?>>
耐力壁以外の開口部のない壁で、木ずり・構造用合板・石膏ボード等の材料で、柱・間柱・縦枠材に規定通りの釘留めが行われ、高さが横架材間内法寸法の80%以上の壁を言います。
<<一定条件を満たした垂れ壁・腰壁とは?>>
開口部のある壁で、高さ規定以外は準耐力壁に準じ、下記の内容を満たす壁を言います。
- 木ずりや面材の高さが36cm以上で横架材間内法寸法の80%以下の壁。
- 木ずりや面材の横幅が90cm以上で2m以下の壁。
- 両端・同一面に同種の耐力壁や準耐力壁がある壁。
※上記、準耐力壁 及び 一定条件を満たす垂れ壁・腰壁を含めて「準耐力壁等」と言う。
<<準耐力壁等の壁倍率>>
【準耐力壁等の壁倍率表】 (表-1)
準耐力壁等の仕様 | 材 料 | 釘打の方法 | 壁倍率 | ||
釘の種類 | 釘の間隔 | ||||
(1) | 構造用合板 | 合板のJASに適合するもので、種類は特類とし厚さ7.5mm以上の軸組み。 | N 50 | 15cm以下 | 2.5×0.6×h/H |
(2) | パーティクルボード | JIS A 5908に適合するもので、種類は曲げ強さの区分が8タイプ以上のものとし厚さ12mm以上の軸組み。 | |||
(3) | 構造用パネル | 構造用パネルのJASに適合する軸組み。 | |||
(4) | 石膏ボード | JAS A 6901に適合するもので、厚さ12mm以上の軸組み。 | GNF 40 又は GNC 40 | 15cm以下 | 1.0×0.6×h/H |
(5) | 木ずり | 断面寸法12mm×75mm以上とし、20mm程度の目透かし張りの上5枚以下毎に乱継ぎを設けた軸組み。 | GNF 40 N 50 2本打ち | 15cm以下 | 0.5×0.6×h/H |
(6) | (1)~(5)の壁をそれぞれ両面に設けた軸組み。 | - | - | - | (1)~(5)の数値の2倍 |
(7) | (1)~(5)の壁を組み合わせた軸組み。 | - | - | - | (1)~(5)の数値の和 |
- 上下に離して同じ壁を設けた場合は、「壁の高さ」は各々の壁の高さの和とする。
- 耐力壁(筋違い)の壁倍率はこちらを参照下さい。
- 耐力壁(面材)の壁倍率はこちらを参照下さい。
<<耐震等級2の必要壁量>>
【耐震等級2の必要壁量】 (表-2)
対象建築物 | 一般地域 | 多雪区域 | ||||
積雪1 m | 1m~2m | 2m | ||||
(1) | 屋根を軽い材料で葺いたもの | 平屋 | 18 Z | 34 Z | 直線的に補間した数値 | 50 Z |
2階建ての1階 | 45 K1 Z | (45 K1+16) Z | 直線的に補間した数値 | (45 K1+32) Z | ||
2階建ての2階 | 18 K2 Z | 34 K2 Z | 直線的に補間した数値 | 50 K2 Z | ||
(2) | (1)以外の建物若しくは壁の重量が大きい建物 | 平屋 | 25 Z | 41 Z | 直線的に補間した数値 | 57 Z |
2階建ての1階 | 58 K1 Z | (58 K1+16) Z | 直線的に補間した数値 | (58 K1+32) Z | ||
2階建ての2階 | 25 K2 Z | 41 K2 Z | 直線的に補間した数値 | 57 K2 Z |
- 上記において、K1・K2・Rf・Zは、それぞれ次の数値を表します。
K1 : 0.4+0.6Rf
K2 : 1.3+0.07/Rf (Rfが0.1を下回る場合は2.0とする)
Rf : 2階床面積/1階床面積
Z : 建築基準法施行令88条に規定する地震地域係数(1.0~0.7) - 屋根に雪止めがなく、かつ、その勾配が20°を超える建物 又は 雪おろしを行う習慣のある地方における建物については、垂直積雪量がそれぞれ次のイ又はロに定める数値の区域にある建物と見なして、この表の多雪区域の適用した場合における数値とすることが出来る。
この場合において、垂直積雪量が1m未満の区域にある建物については、多雪区域の積雪1mの数値と積雪2mの数値とを直線的に延長した数値とすることが出来る。
イ 屋根形状係数(施行令86条4項)を垂直積雪量に乗じ、0.93で除した数値。
ロ 雪おろし行う習慣のある地方においては、垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪おろしの状況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することが出来る。(施行令86条6項) - この表における階数の算定については、地階の部分の階数は算入しない。
- 1から3までにかかわらず、当該建築物に作用する荷重を考慮して、計算により必要壁量を算定することができるものとする。
<<耐震等級3の必要壁量>>
【耐震等級3の必要壁量】 (表-3)
対象建築物 | 一般地域 | 多雪区域 | ||||
積雪1 m | 1m~2m | 2m | ||||
(1) | 屋根を軽い材料で葺いたもの | 平屋 | 22 Z | 41 Z | 直線的に補間した数値 | 60 Z |
2階建ての1階 | 54 K1 Z | (54 K1+16) Z | 直線的に補間した数値 | (54 K1+39) Z | ||
2階建ての2階 | 22 K2 Z | 41 K2 Z | 直線的に補間した数値 | 60 K2 Z | ||
(2) | (1)以外の建物若しくは壁の重量が大きい建物 | 平屋 | 30 Z | 50 Z | 直線的に補間した数値 | 69 Z |
2階建ての1階 | 69 K1 Z | (69 K1+20) Z | 直線的に補間した数値 | (69 K1+39) Z | ||
2階建ての2階 | 30 K2 Z | 50 K2 Z | 直線的に補間した数値 | 69 K2 Z |
- 上記において、K1・K2・Rf・Zは、それぞれ次の数値を表します。
K1 : 0.4+0.6Rf
K2 : 1.3+0.07/Rf (Rfが0.1を下回る場合は2.0とする)
Rf : 2階床面積/1階床面積
Z : 建築基準法施行令88条に規定する地震地域係数(1.0~0.7) - 屋根に雪止めがなく、かつ、その勾配が20°を超える建物 又は 雪おろしを行う習慣のある地方における建物については、垂直積雪量がそれぞれ次のイ又はロに定める数値の区域にある建物と見なして、この表の多雪区域の適用した場合における数値とすることが出来る。
この場合において、垂直積雪量が1m未満の区域にある建物については、多雪区域の積雪1mの数値と積雪2mの数値とを直線的に延長した数値とすることが出来る。
イ 屋根形状係数(施行令86条4項)を垂直積雪量に乗じ、0.93で除した数値。
ロ 雪おろし行う習慣のある地方においては、垂直積雪量が1mを超える場合においても、積雪荷重は、雪おろしの状況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することが出来る。(施行令86条6項) - この表における階数の算定については、地階の部分の階数は算入しない。
- 1から3までにかかわらず、当該建築物に作用する荷重を考慮して、計算により必要壁量を算定することができるものとする。
③,耐力壁線が住宅性能表示の規定寸法以下であること。
各階の梁間方向及び桁行方向の耐力壁線の相互間の寸法が8m以下(各方向で筋違いを含まない壁、その他同等の靱性がある壁のみを用いる場合にあっては12m以下)であること。
この場合において、1m以内の耐力壁線のズレは同一線上にあると見なされます。
耐力壁線の間隔≦8m
<<耐力壁線とは?>>
地震または風により建物上部から伝わってくる水平力を建物下部に充分に伝達できるように、下記のa又はbに該当する存在壁量がある平面上の線を言います。
- 各階、各方向の最外周の平面上の線。
- 耐力壁線長さの1/6以上でかつ4m以上の有効壁長(耐力壁・準耐力壁等の長さに壁倍率を乗じた値)を有する平面上の線。
<<必要床倍率とは?>>
必要床倍率とは、耐力壁線で囲まれた「床組等」に各等級(等級1は除く)ごとに必要な床の倍率で、下記の計算式-1より算出します。
ΔQN=α ・CE ・L (式-1)
- 式-1において、ΔQN・α・CE・Lは、それぞれ次の値を表す。
ΔQN : 当該床組み等に求められる必要床倍率
α : 当該床組が接する当該階の外壁線である耐力壁線が③bに該当しない場合は2.0、1階において当該床組等の中間に2階の耐力壁線がない場合は、0.5、その他の場合は0.1とする。
CE : 当該階の当該方向における②表-2、表-3の数値を200で除した値。
L : 当該床組等が接する耐力壁線の相互の間隔 (単位 m) - 「床組等」とは、1階にあっては、2階の床の床組 又は 1階の屋根の小屋組 又は 屋根面を、2階にあっては2階の屋根の小屋組 又は 屋根面を言う。
存在床倍率とは、床組の仕様や火打ち材の仕様により、品確法(下記 表-4~表-7)にて定められた床組の強さを表しています。
又、当該耐力壁線の方向に異なる仕様の床組がある場合は、下記の計算式-2により算出した値を存在床倍率とします。
尚、当該耐力壁線に直行する方向に異なる床組がある場合は、最も数値の低い部分の存在床倍率とする。
ΔQE=∑(ΔQE i ・L i)/Σ L i (式-2)
- 式-2において、ΔQE・ΔQEi・Liは、それぞれ次の値を表す。
ΔQE : 当該床組等が有する存在床倍率
ΔQEi : 当該床組等のうち仕様が異なる部分が有する存在床倍率
(吹抜 及び 階段室となる部分は0とする)
Li : それぞれの部分の当該耐力壁線方向の長さ
【存在床倍率 根太工法】 (表-4)
床面材の種類 | 根太 | 釘打ちの方法 | 存在床倍率 | |||
工法 | 間隔 | 釘の種類 | 釘の間隔 | |||
イ | 厚さ12mm以上の構造用合板 及び 厚さ12mm以上の構造用パネル | 転ばし | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 1.00 |
500mm以下 | 0.70 | |||||
半欠き | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 1.60 | ||
ロ | 500mm以下 | 1.12 | ||||
落し込み | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 2.00 | ||
500mm以下 | 1.40 | |||||
ハ | 厚さ12mm以上、幅180mm以上の挽板 | 転ばし | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 0.30 |
500mm以下 | 0.20 | |||||
半欠き | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 0.36 | ||
500mm以下 | 0.24 | |||||
落し込み | 340mm以下 | N 50 | 150mm | 0.39 | ||
500mm以下 | 0.26 |
- 表-4は根太を使用する場合の存在床倍率を表しています。
- 構造用合板は、JASに適合する構造用合板で接着の程度は特類 又は Ⅰ類とする。
- 構造用パネルは、JASに適合する構造用パネルで1級、2級 又は 3級。
- 挽板の継ぎ手は、板10枚ごとに乱継ぎとし、継手は根太芯で突付けとする。
- 表-6及び表-7の仕様と併用する場合の存在床倍率は、それぞれの存在床倍率の和とする。
- N 50とは、日本工業規定A 5508に定める「鉄丸釘N 50」又はこれと同等の品質を有する釘を言います。詳しくは、家づくり資料室「釘の種類」をご覧下さい。
【存在床倍率 根太レス工法(剛床)】 (表-5)
床面材の種類 | 釘打ちの方法 | 存在床倍率 | |||
釘の種類 | 釘の間隔 | 釘打ち箇所 | |||
ニ | 厚さ24mmの構造用合板 | N 75 | 150mm以下 | 川の字打ち | 1.20 |
4周打ち | 3.00 |
- 表-5は根太を用いず、直接、構造用合板を床梁や胴差に止め付ける場合の存在床倍率を表しています。
- 構造用合板は、JASに適合する構造用合板で接着の程度は特類 又は Ⅰ類とする。
- 構造用合板の厚みは24mm以上 必要です。
- 表-6及び表-7の仕様と併用する場合の存在床倍率は、それぞれの存在床倍率の和とする。
- N 75とは、日本工業規定A 5508に定める「鉄丸釘N 75」又はこれと同等の品質を有する釘を言います。詳しくは、家づくり資料室「釘の種類」をご覧下さい。
【存在床倍率 火打ち梁(一般床)】 (表-6)
火打ちの種類 | 平均負担面積 | 主たる横架材の成 | 存在床倍率 | |
ホ | 木製90mm×90mm以上 及び 鋼製 | 2.5㎡以下 | 240mm以上 | 0.80 |
150mm以上 | 0.60 | |||
105mm以上 | 0.50 | |||
3.3㎡以下 | 240mm以上 | 0.48 | ||
150mm以上 | 0.36 | |||
105mm以上 | 0.30 | |||
5.0㎡以下 | 240mm以上 | 0.24 | ||
150mm以上 | 0.18 | |||
105mm以上 | 0.15 |
- 表-6は火打ち材を設けた床組等の存在床倍率を表しています。
- 平均負担面積とは、耐力壁線上の火打ち材に囲まれた面積を、その火打ち材の本数で除した数値を言う。
- 主たる横架材の成は、火打ち材が取り付く梁等の部材 高さ寸法を言う。
- 表-4若しくは表-5と表-7の仕様と併用する場合の存在床倍率は、それぞれの存在床倍率の和とする。
【存在床倍率 屋根面】 (表-7)
面材の種類 | 垂木 | 釘打ちの方法 | 屋根勾配 | 存在床倍率 | |||
工法 | 間隔 | 釘の種類 | 釘の間隔 | ||||
ヘ | 厚さ9mm以上の構造用合板及び厚さ9mm以上の構造用パネル | 転ばし | 500mm以下 | N 50 | 150mm | 45度以下(矩勾配以下) | 0.50 |
30度以下(5寸勾配以下) | 0.70 | ||||||
ト | 厚さ9mm以上、幅180mm以上の挽板 | 転ばし | 500mm以下 | N 50 | 150mm | 45度以下(矩勾配以下) | 0.10 |
30度以下(5寸勾配以下) | 0.20 |
- 表-7は、屋根面の存在床倍率を表しています。
- 構造用合板は、JASに適合する構造用合板で接着の程度は特類 又は Ⅰ類とする。
- 構造用パネルは、JASに適合する構造用パネルで1級、2級 又は 3級。
- 挽板の継ぎ手は、板10枚ごとに乱継ぎとし、継手は垂木芯で突付けとする。
- 小屋組を、存在床倍率を有する構造とする場合は表-4~表-6の仕様を採用すること。
- 表-4若しくは表-5と表-6の仕様と併用する場合の存在床倍率は、それぞれの存在床倍率の和とする。
- N 50とは、日本工業規定A 5508に定める「鉄丸釘N 50」又はこれと同等の品質を有する釘を言います。詳しくは、家づくり資料室「釘の種類」をご覧下さい。
⑤,各部位の継手及び仕口が基準に適合していること。
1)胴差と通柱の仕口が品確法に定められた基準と同等以上の引張耐力があるか、又、2)建物外周部に接する部分の継手・仕口が「一定の条件の部位」では、計算式-3にて算出した必要接合部倍率以上の存在接合部倍率を、その他の建物外周部に接する継手・仕口は0.7以上の存在接合部倍率を有する構造とすることが求められています。
尚、筋違いの接合(告示1460号第1項) 及び 耐力壁に接する柱頭・柱脚の接合(告示1460号第2項)は、各等級共通にて確認する必要があります。
また、等級1では、1)、2)の構造耐力は要求されていません。
1),胴差と通柱の仕口基準
胴差と通柱の接合方法は、下記の区分に応じてそれぞれに記載する接合方法 又はこれと同等以上の引張耐力が必要です。
- 胴差を通柱に接合する場合
胴差を通柱にかたぎ大入れ短ほぞ差しとして、羽子板ボルト(厚さ3.2mmの鋼製添え板に径12mmのボルトを溶接した金物)を用い、胴差に対して径12mmのボルト締め、通柱に対して厚さ4.5mm、40mm角の角座金を介しナット締めしたもの。 - 通柱を挟んで胴差相互を接合する場合
胴差を通柱にかたぎ大入れ短ほぞ差しとし、短ざく金物(厚さ3.2mmの鋼板添え板)を用い、双方の胴差に対してそれぞれ径12mmのボルト締めとしたもの。 - A及びBの接合部の近傍に断面寸法90mm×90mm以上の筋違いが当たり、かつ、当該通柱が出隅にあり、又は 当該筋違いを含む軸組が外壁に直行して接する場合
15KNホールダウン金物(厚さ3.2mmの鋼板添え板)を用い、胴差に対して径12mmのボルト3本、通柱に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したもの。
2),建物外周部に接する部分の継手・仕口の基準
下記に記載する「一定条件の部位」の継手・仕口には、計算式-3にて算出した必要接合部倍率(0.7を下回る場合は0.7とする)以上の存在接合部倍率(表-8)を、その他の外周部に接する部分の継手・仕口については0.7以上の存在接合部倍率を確保する必要があります。
- 2階の外壁と接する1階の小屋組及び屋根面において、当該小屋組及び屋根面の2階の外壁側の両端の仕口。
- 耐力壁線までの距離が1.5mを超える位置にある入隅部分の床組等の仕口。
- 相互の間隔が4mを超える耐力壁線に挟まれる床組等の中間にある胴差 及び 軒桁の継手・仕口。
【存在接合部倍率 】 (表-8)
接合部の仕様 | 継手及び仕口の構造方法 | 存在接合部倍率 | |
① | 長ほぞ差し込み栓打ち | 長ほぞ差し込み栓打ちとしたもの、若しくは かど金物(L字型)を用い、双方の部材にそれぞれ長さ6.5cmの太め鉄丸釘を5本平打ちしたもの 又は同等の接合方法としたもの。 | 0.70 |
L字型かど金物 | |||
② | T字型かど金物 | かど金物(T字型)を用い、双方の部材にそれぞれ長さ6.5mmの太め鉄丸釘を5本平打ちしたもの、若しくは、山形プレートを用い、双方の部材にそれぞれ長さ9.0cmの太め鉄丸釘を4本平打ちとしたもの 又は同等の接合方法としたもの。 | 1.00 |
山型プレート | |||
③ | 羽子板ボルト | 羽子板ボルトを用い、一方の部材に対して径12mmのボルト締め、他方の部材に対して厚さ4.5mm、40mm角の角座金を介してナット締めをしたもの、若しくは 短ざく金物を用い、双方の部材に対してそれぞれ径12mmのボルト締めとしたもの 又は同等の接合方法としたもの。 | 1.40 |
短ざく金物 | |||
④ | 羽子板ボルト+スクリュー釘 | 羽子板ボルトを用い、一方の部材に対して径12mmのボルト締め 及び長さ50mm、径4.5mmのスクリュー釘打ち、他方の部材に対して厚さ4.5mm、40mm角の角座金を介してナット締めをしたもの、若しくは 短ざく金物を用い、双方の部材に対してそれぞれ径12mmのボルト締め 及び長さ50mm、径4.5mmのスクリュー釘ちとしたもの 又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 1.60 |
短ざく金物+スクリュー釘 | |||
⑤ | 腰掛蟻 若しくは大入れ蟻掛け+羽子板ボルト 若しくは短ざく金物 | 双方の部材を腰掛蟻若しくは大入れ蟻掛けで接合し、羽子板ボルトを用い、一方の部材に対して径12mmのボルト締め、他方の部材に対して厚さ4.5mm、40mm角の角座金を介してナット締めしたもの、若しくは、双方の部材を腰掛蟻若しくは大入れ蟻掛けで接合し、短ざく金物を用い、双方の部材に対してそれぞれ径12mmのボルト締めとしたもの、又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 1.90 |
⑥ | 腰掛蟻 若しくは大入れ蟻掛け+羽子板ボルト×2 若しくは短ざく金物×2 | 双方の部材を腰掛蟻若しくは大入れ蟻掛けで接合し、羽子板ボルト2個を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト締め、他方の部材に対して2個の金物それぞれについて、厚さ4.5mm、40mm角の角座金を介してナット締めしたもの、若しくは、双方の部材を腰掛蟻若しくは大入れ蟻掛けで接合し、短ざく金物2枚を用い、双方の部材に対してそれぞれ径12mmのボルト締めとしたものを2組用いたもの。 | 3.00 |
⑦ | 10KN用ホールダウン金物 | ホールダウン金物を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト2本、他方の部材に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したもの 又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 1.80 |
⑧ | 15KN用ホールダウン金物 | ホールダウン金物を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト3本、他方の部材に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したもの 又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 2.80 |
⑨ | 20KN用ホールダウン金物 | ホールダウン金物を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト4本、他方の部材に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したもの 又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 3.70 |
⑩ | 25KN用ホールダウン金物 | ホールダウン金物を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト5本、他方の部材に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したもの 又はこれと同等の接合方法としたもの。 | 4.70 |
⑪ | 15KN用ホールダウン金物×2組 | ホールダウン金物を用い、一方の部材に対して径12mmのボルト3本、他方の部材に対して当該ホールダウン金物に止め付けた径16mmのボルトを介して緊結したものを2組用いたもの。 | 5.60 |
- 表-8は、接合部の存在接合部倍率を表しています。
- 長ほぞ差し込み栓打ちの込み栓は堅木を用いたものに限ります。
- かど金物とは、L字型、T字型の厚さ2.3mmの添え板を言います。
- 山形プレートとは、V字型の厚さ2.3mmの鋼板添え板を言います。
- 羽子板ボルトとは、厚さ3.2mmの鋼板添え板に径12mmのボルトを溶接した金物。
- 短ざく金物とは、I字型の厚さ3.2mmの鋼板添え板を言います。
- ホールダウン金物とは、厚さ3.2mmの鋼板添え板で引き寄せ金物とも言います。
T=0.185×ΔQE×L (式-3)
- 式-3において、ΔT・ΔQE・Lは、それぞれ次の値を表す。
T : 当該継手及び仕口の必要接合部倍率
ΔQE : 当該継手及び仕口に接する床組等の有する存在床倍率
L : 当該床組等が接する耐力壁線の相互の間隔 (単位 m)
⑥,横架材の寸法が適切であること。
建物の荷重、横架材の間隔、長さ等の条件に対して、横架材の樹種及び断面寸法が適切に設定されているか確認する。
断面部材寸法は、(財)日本住宅・木材技術センター発行の「木造住宅のための構造の安定に関する基準に基づく横架材及び基礎のスパン表」が基本となります。
3,住宅性能表示の耐風等級
建物の強さを表す指標として、品確法の住宅性能表示での耐震等級以外に耐風等級があります。
最低の基準として建築基準法の範囲内を等級1、建築基準法の1.20倍の強さを等級2として、2ランクの耐風等級が設けられています。
4,耐風等級の判定
階数が2階以下の木造住宅で、住宅性能表示での耐風等級を判定するには、構造計算を行わない場合は、下記の①、②に掲げる基準に適合していることが要求されます。
但し 耐風等級1の場合は、耐震等級の①(建築基準法の遵守)のみ適合し、ここに記載された項目は対象外となります。
①,品確法にて設定されている、見付面積に乗じる数値に応じた壁量計算が適合していること。
準耐力壁等を含めた耐力壁の存在壁量が、品確法にて定められた見付面積に乗じる数値に応じて、算出された風圧力による必要壁量以上であることが要求されます。
存在壁量(耐力壁+準耐力壁等)≧風圧力による必要壁量(品確法による算定方法)
※品確法による、地域に応じた風速による見付面積に乗じる数値は、下記表-9に記載された数値とする。
地域に応じた風速(単位 m/s) | 30 | 32 | 34 | 36 | 38 | 40 | 42 | 44 | 46 |
見付面積に乗じる数値 | 53 | 60 | 67 | 76 | 84 | 93 | 103 | 113 | 123 |
地域に応じた風速は、国土交通省告示1454号にて各地域により定められています。
詳しくは地域別風速を参照して下さい。
②,耐震等級判定の③~⑥ 及び①の規定に適合していること。
耐震等級判定の、耐力壁線間隔(③)、存在床倍率が必要床倍率以上(④)、継手・仕口が基準に適合(⑤)、横架材の寸法(⑥)、建築基準法での必要壁量(①)の基準に適合していることが求められます。
この場合において、存在床倍率が必要床倍率以上(④)の式-1は下記の式-4とする。
ΔQN=α ・Cw ・l/L (式-1)
- 式-1において、ΔQN・α・Cw・l ・Lは、それぞれ次の値を表す。
ΔQN : 当該床組み等に求められる必要床倍率
α : 当該床組が接する当該階の外壁線である耐力壁線が耐震等級の判定③bに該当しない場合は2.0、1階において当該床組等の中間に2階の耐力壁線がない場合は、0.5、その他の場合は0.1とする。
Cw : 当該階の当該方向において適用される、上記表-9の見付面積に乗じる数値に、階数が2の2階又は階数が1の建築物は0.014を、階数が2の1階にあっては0.028を乗じて得た値。
l : 当該床組等が接する耐力壁線の相互の間隔 (単位 m)
L : 当該床組等の当該耐力壁線方向の長さ (単位 m) - 「床組等」とは、1階にあっては、2階の床の床組 又は 1階の屋根の小屋組 又は 屋根面を、2階にあっては2階の屋根の小屋組 又は 屋根面を言う。
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